ぐっすり眠ってスッキリ起きる。「体内時計」を整えるコツは?

ぐっすり眠ってスッキリ起きる。「体内時計」を整えるコツは?

“早起きは三文の徳”ということわざがあるように、早朝の時間を使って勉強や趣味、スポーツなどの活動をする「朝活」が流行っていますね。無理のない朝活のためにも、“質の高い睡眠”は必須。よく眠ってすっきり起きて、“生活の質”を高めたいものです。

●睡眠の質はホルモンの分泌が関係

私たちの体には1日周期でリズムを刻む「体内時計」があります。それによって、脈拍や呼吸、血圧や体温の変動、新陳代謝、ホルモンの分泌など、体のさまざまな生体リズムを調節しています。
食欲や睡眠も体内時計と大きくかかわりがあることの一つ。夜になると自然に眠くなりますが、この切り替えるスイッチが「睡眠ホルモン」といわれるメラトニン。夜暗くなると体内時計によってメラトニンが分泌されて、自然に眠くなるというメカニズムです。一方、朝方になるとメラトニンが減って目覚めるようになっているのです。

●“美”も眠っている間に作られる

また、就寝中には「成長ホルモン」が分泌されます。
その名のとおり、これは子どもの成長に欠かせないホルモンですが、実は大人にとっても重要。疲労回復や細胞の修復、新しい細胞を作り出すなどの役割があり、健康と美容に欠かせません。

このように、睡眠とホルモンの関係は深く、ホルモンの分泌をコントロールしているのが体内時計です。そのため体内時計のリズムが狂ってしまうと、睡眠のメカニズムも乱れてしまい、不眠症を含めた「睡眠障害」が起こります。日中の眠気やだるさ、集中力の低下など日常生活に支障をきたし、生活習慣病やうつ病の引き金になるなど健康を損ねることにもなりかねないのです。

●体内時計に正しい“クセ”をつけさせる

いまや睡眠障害は日本の国民病とも言われるほど、眠りの質に悩んでいる人は多いといわれます。パソコンやテレビ、スマホに囲まれたメディア環境、休む間もなく動き続ける24時間社会、人口の高齢化……。昼夜のメリハリもない現代社会が、体内時計を狂わせているのかもしれませんね。

一旦、狂ってしまった体内時計をリセットすることはできるのでしょうか。

実は、体内時計には履歴が残るため、クセがつきやすいといわれます。

長い間、遅寝遅起きを続けると、体内時計は過去のクセを続けようとするため、早起きができなくなってしまいます。逆に、早起きの習慣をつけるとその時間に合うように体内時計がセットされ、決まった時間に出るべきホルモンが分泌されるようになります。
この履歴を利用して体内時計を整えれば、ホルモンバランスが変わり正しい時間に眠くなります。ただし、クセをつけさせるまでが大変かも…。

●年齢とともに熟睡できなくなる傾向も

また、日本人の5人に1人が、睡眠について何かしらの悩みを抱えているといわれています。
特に50〜60 代になると、寝つきが悪い、途中で目が覚める、朝早く目覚める、熟睡できないなど「不眠症」の症状がしばしば見られるようになり、さらに年齢を重ねると、日中眠くてしかたがないなど「睡眠障害」が起こりやすくなる人もいるようです。

ちなみに、私たちの体内時計は概ね下記のように動いているそうです。

23:00〜3:00
成長ホルモンの分泌
*成長ホルモン
全身の細胞を修復し、免疫機能を向上させます。深い睡眠時に出現し、眠りはじめの3時間で大量に分泌されるといわれています。
  ↓
3:00〜6:00
コルチゾールの分泌
*コルチゾール
夜中の3時くらいから分泌されるホルモン。体に蓄えられている栄養素(脂肪やグリコーゲン)を代謝し、寝ている間のエネルギーを生み出しています。
  ↓
6:00〜11:00
頭が最もさえる
  ↓
13:00〜15:00
眠気のピーク
  ↓
16:00〜19:00
身体がよく動く
  ↓
21:00〜10:00
メラトニンの分泌
*メラトニン
別名「睡眠ホルモン」と呼ばれ、眠りを誘うホルモンです。太陽の光を浴びてから14〜15時間後の21 時ごろから分泌されはじめ、朝方にかけて分泌量が徐々に減っていきます。

●質の高い睡眠をつくるポイント

“眠る力=睡眠力”を高めれば、体がしっかりとメンテナンスされ、明日への活力が生まれます。

■“ 体温が下がると眠くなる”を利用する
就寝の1時間前にぬるめの湯に10〜20分つかって体温を上げると、入浴後に体温が下がり心地よく入眠できます。

■21時以降は強い光を浴びない
夜間に強い光を長時間見ていると、睡眠を促すメラトニンの分泌量が減少します。テレビやパソコンなど脳を刺激して眠りを妨げるものはできるだけ避け、就寝する2時間前には間接照明などで明かりを弱めましょう。

■食事、お酒は眠る3時間前までに
胃に食べ物が残っていると、睡眠中に消化機能が活発になり、熟睡できません。
就寝する3時間前には夕食をすませましょう。また、飲酒後は、アルコールが分解され生成されるアルデヒドが交感神経を刺激するので、お酒も寝る3時間前までに。

■夜、軽い運動をする
運動している人ほど、体温リズムが早くなり、体内時計が調節されやすくなります。体温が上がっている夕方から夜にかけて軽い運動を取り入れると体温が上がり、眠る前に体温が下がりやすくなり、眠りに落ちやすくなります。

■サプリメントを活用する
私たちの足りない栄養素を補ってくれるサプリメントの中には、睡眠の質の向上をサポートしてくれる「睡眠サプリメント」もあります。特に最近では種類も増え、アミノ酸のグリシンやハーブ系、ビタミンなどさまざまな睡眠サプリメントが販売されています。プラセンタも睡眠不足からくる不調を改善してくれるなど、睡眠に役立つ健康食品として紹介されることも多いですね。それぞれの成分を吟味し、正しい知識で自分に合ったサプリメントを選びましょう。

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