<更年期と上手につきあう 2> 女性ホルモンの基礎知識

<更年期と上手につきあう 2>  女性ホルモンの基礎知識

●脳や血管、髪や肌にも関係している

女性ホルモンは妊娠や出産に備えるためだけのものではなく、美容や健康にも大きく貢献しています。

そもそも「ホルモン」とは、全身の器官のはたらきを刺激するためにつくられる物質のことで、女性ホルモンは体内の数十種類のホルモンのうちの一つです。
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、月経のリズムに合わせて卵巣から分泌されています。

女性ホルモンは、出産に向けて月経、妊娠などをコントロールするほか、「骨の新陳代謝を促す」、「血液中の悪玉コレステロールを抑え、善玉コレステロールを増やす」、「皮膚の潤いを保つ」、「脳細胞を保護したり、脳の血流を維持する」など、まさに女性の若さと美しさの“守り神”として大活躍しているのです。

そんな重要な役割を持つ女性ホルモン!

ですが、

女性ホルモンは妊娠しやすい20〜30代にもっとも多く分泌され、40代に入るとエストロゲンの分泌が低下しはじめます。そして、40代後半で急激に減少してしまいます。

これはエストロゲンを分泌する卵胞の数が急激に減少するため。
そして50歳ごろには卵胞はほとんどなくなってしまい、月経も止まる人が多くなります。
これが「閉経」です。
閉経の前後5年ずつ、計10年を一般に「更年期」と呼んでいます。

●女性ホルモンの分泌の仕組み

脳の視床下部は、「女性ホルモンが足りない」という情報を受け取ると、もっと女性ホルモンを出すように、下垂体を刺激するホルモンを送ります。

すると、下垂体が反応して卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンを分泌します。

これらのホルモンの刺激によって卵巣からエストロゲンとプロゲステロンが血液中に分泌され、全身をめぐり、子宮に届いて月経を起こします。

月経を起こす役割のほか、エストロゲンは脳や骨、皮膚をはじめ全身の臓器に作用することがわかっています。
一方、女性ホルモンが一定量分泌されると、視床下部はもう出さなくて良いという指令を出します。
このような女性ホルモンの分泌を調節するしくみを「フィードバック機構」といいます。

●女性ホルモンの恩恵がなくなるとどうなっちゃうの!?

ところが更年期には、いくら脳の視床下部が指令を出しても卵巣がエストロゲンを分泌しないため、視床下部が混乱してしまいます。

視床下部では自律神経系や内分泌系、免疫力系などの働きもコントロールしているため、視床下部の混乱によりさまざまな不調があらわれます。
不調には個人差がありますが、これがいわゆる「更年期障害」と呼ばれるもの。

代表的なものはほてりや発汗ですが、冷えや疲労感、頭痛、めまい、落ち込みやイライラ、不眠など症状はさまざま。
ぜんぜんへっちゃらな人もいれば、日常生活に影響を及ぼすほどつらい症状になる人もいるので侮れませんね。

また、閉経後は女性ホルモンの働きを失うことで、骨粗鬆症や動脈硬化、心筋梗塞、脂質異常症、皮膚の老化などのリスクが高まるとされています。

ホルモン減少が引き起こす症状

加齢とともに女性ホルモンが減少してしまったら、あとはもうどうしようもないの!?と、不安になりますが、ご安心を!

次回は更年期を元気に乗り切るための方法として、プラセンタ療法、ホルモン補充療法、漢方薬、生活習慣の4つをご紹介します!


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