●パソコンにスマホ、目に過酷なイマドキの環境
パソコンやスマホの普及などで、私たちは常に近くのものを見る生活を送っています。
実はこれは目にとっては過酷な環境。
もともと人間の目は遠くからの危険を察知するために、遠くを見るようにできています。
近くを見るときは、ピントを合わせる必要があり、目につながる筋肉や神経が緊張します。
その緊張状態が長く続くと「疲れ目」になるのです。
また「ドライアイ」は、目の表面が乾き、痛みを感じたり、傷ついたりする病気です。
本来、目の表面は涙で潤っています。
涙は目に必要な栄養分や傷ついた目を修復する成分を含んでいて、人が無意識にまばたきをするのは、涙を補給するためです。
ところが、パソコンやスマホを凝視すると、まばたきの回数が減り、それがドライアイの一因にもなっています。
“疲れ目の人の半数はドライアイ”という報告もあり、疲れ目の解消には、ドライアイ対策が欠かせません。
●まずは「温め」でリラックス
目が疲れたり、乾いたとき、あなたはどうしていますか?
実は疲れ目やドライアイには、「温める」がいちばん効果的といわれています。
目の疲れの多くは、目のレンズである水晶体の厚みを変える「毛様体筋」が凝り固まることで起こります。
この筋肉は自律神経の働きで動いているため、多くの血管や神経が集まる目を温め、自律神経をリラックスさせれば、コリがほぐれるというわけです。
温めたタオルを合計5~10分、目に当てます。
タオルが体温ぐらいに冷めたら、交換しましょう。
●ストレッチで筋肉をほぐす
ふだん、目を使って何かを見ているときに「筋肉を使っている」と意識している人はおそらくいないでしょう。
しかし、あちこちに視線を移したり、ピントの遠近を合わせたりできるのは、実は目の筋肉の働きのおかげなのです。
激しいスポーツをしたあと、筋肉にコリや炎症が 起こるのと同じように、使い過ぎた目の筋肉にも、コリは起こります。
目の疲れは目の筋肉痛とも言えそうですね。
働き過ごて凝り固まった筋肉をストレッチでほぐせば、疲れは解消します。
目を温め、リラックスさせる方法だけでも効果はありますが、目の筋肉のストレッチを加えれば、温めとの相乗効果でさらに目がスッキリ!
●3つの筋肉を意識的に動かすのがポイント
疲れ目の解消には、目の「虹彩の筋肉」「毛様体筋」「外眼筋」の緊張をほぐすことがポイントになります。
「虹彩の筋肉」は明るさに合わせて、瞳孔の大きさを調節します。
明るいときは瞳孔を小さくして、入ってくる光の量を絞るので、テレビやスマホなど明るい画面を長時間見ていると虹彩筋が疲れます。
「毛様体筋」は目のレンズにあたる水晶体を周囲から支えている筋肉で、水晶体の厚みを変えて、ピントを合わせるという重要な役割を担っています。
「外眼筋」は眼球を支えて、瞳を上下左右に動かしたり、回転させたりする筋肉。モニターなど一点を見続けて目を動かさずにいると、凝り固まってしまいます。
そこで!
目のストレッチ
やり方は、左回りにゆっくり眼球を2 ~3回、回転。同じく右回りにもゆっくり眼球を2~ 3回回転させます。
右回り、 左回り、どちらから始めてもかまいませんが、まわす回数は同じにしましょう。
ゆっくり2 ~3回まわしたら、速めに10回ぐらいまわします。
やり方は、
顔を動かさず、眼球を大きく上に動 かし、5~10秒間止めます。
次に、眼球を大きく左に動かし、5~10秒間止めます。
同じく眼球を大きく右に動かし、5~10秒間止めます。
最後に眼球を大きく下に動かし、5~10秒間止めます。
上下左右、どちらに動かす場合も、顔を動かさずに眼球だけを動かします。
動かしたら、そのまま5~10秒間止め、それからいったん正面に戻します。
上下左右、どの方向も同じ回数を行いましょう。
涙腺も刺激されるので、目に潤いを与える効果もあります。
やり方は、目を閉じて、まぶたにだけギューッと2 、3秒間、力を入れ、その後、パッと力を抜きます。
このとき、顔の筋肉全体をゆるめるような気持ちで行いましょう。
●目を疲れさせない習慣を
蒸しタオルを目に当てると、さらに目の疲労回復に効果があります。
休日は旅行に出かけたり、アウトドアで自然に親しみ、遠くを見ることで目を休めてあげましょう。
これがドライアイの原因に。
加湿器を使用し、適度な湿度を保つことで、目の乾きを防ぎましょう。
パソコンやスマホのディスプレイの輝度を少し暗めぐらいに調節することも効果的です。
また、近くを見続けると毛様体筋に負担がかかります。
1時間に10分は休憩を取り、遠くを見てリラックスを。
モニターと目は50cm以上離し、やや見下ろす角度にすることで、涙が蒸発しにくく、首にも負担がかかりにくくなります。