●中高年に多くみられる「変形性ひざ関節症」
「加齢とともに手足の関節が痛むようになってきた」という方も多いのではないでしょうか。特にひざの痛みに悩む人は多く、その原因のほとんどが「変形性ひざ関節症」という病気によるものと言われています。
私たちの大腿骨と脛骨の間には弾力のある「関節軟骨」があり、骨同士がぶつからないようにクッションの役割を果たしています。しかし、長年使い続けるうちに軟骨がすり減り、弾力がなくなってしまいます。すると、ひざの関節が変形したり、炎症が起こったりしてひざに痛みが生じるのです。
これが「変形性ひざ関節症」。
特に50代以上の女性に多くみられ、厚生労働省が2008年に発表した資料によると、痛みなどの自覚症状がある人は約1000万人、X線診断による潜在的な患者数は約3000万人と推定されています。初期段階では、朝起きたときの動作の始めに痛みを感じますが、関節を動かすうちに徐々に痛みは引いていきます。しかし、病気が進行するにつれ、痛みが持続するようになり、ひざの内側を中心に変形が起こるためにO脚になったりすることもあります。
●基本は食事、睡眠。そのうえで、健康食品で補う。
「手足の関節の痛みを和らげる」として、多様なサプリメントが話題を集めていますが、健康食品を飲む前に必要なことが3つあります。
一つ目は「運動」です。変形性ひざ関節症は、ひざ関節まわりの筋肉の衰えとも深く関わっていて、ケアするにあたってはひざまわりの筋肉を鍛えることが重要です。
治療の現場でも軟骨の成分であるヒアルロン酸をひざに直接注射するよりも、日常的に運動を続ける方が、症状改善の効果が高いことがわかっています。立ったままで運動することが難しい場合は、無理せずに座ってください。ひざへの負担が少ない水中ウォーキングなどもおすすめです。
二つ目は「食事」です。筋肉の材料となる栄養素として、たんぱく質に、ビタミン、ミネラルの3つの栄養素として、たんぱく質に、ビタミン、ミネラルの3つの栄養素を過不足ないようにバランスよく摂取しましょう。実はグルコサミンやコンドロイチンなどは「準栄養素」といって、体内で合成されている成分です。準栄養素は前出の3つに糖質と脂質を加えた5大栄養素からつくられているので、まずは日々の食事をしっかり食べることで、グルコサミンやコンドロイチンを“つくれる体”になってほしいと思います。
最後は「睡眠」です。筋肉を増やす成長ホルモンは、睡眠時間、特に寝入りばなに多く出るといわれています。この3つの基本ができた上で、やはり加齢によってグルコサミンやコンドロイチンの産生が減っているなら健康食品で補うことを考えてください。
グルコサミンやコンドロイチンには「抗炎症作用」があるともいわれ、初期の痛みであれば緩和されることがあります。ただし進行してしまった場合は難しいでしょう。よく勘違いしている人が多いですが、グルコサミンやコンドロイチンを摂っても、すり減ったひざの軟骨が元に戻ることはありません。よくならない場合は医師の診断を受けることが必要です。肥満によっても症状が重くなりがちなので、体重のコントロールも行うように心がけてください。