●それぞれの違いを決定づけているのは薬事法
「医薬部外品は、よりお肌にいい」
そう思っていても、実際に化粧品と比べて内容や期待できる効果がどう違うのかあまりよくわからない人も多いのではないでしょうか。
医薬部外品や化粧品の分類は「薬事法」で決められています。
例えば、化粧品は「肌を整える」、「皮膚をすこやかに保つ」、「皮膚の乾燥を防ぐ」、「日焼けを防ぐ」といった予防的な意味を持つものになります。
一方、厚生労働省の認可を受けた有効成分を規定量配合したものは、化粧品ではなく、“医薬部外品”となります。
パッケージや販売方法はどちらも一緒なのでパッと見ではわかりにくいのですが、何もかも同じカテゴリーと捉えてしまうと、化粧品選びも混乱してしまいます。
薬事法で定義されている、“医薬部外品”とは、
「 “医薬品”ではないけれど、“医薬品”に準ずるもの」と位置付けられているもので、厚生労働省に効果・効能を認められた成分を配合しているもののことをいいます。
とはいえ、積極的に病気やケガを治すものではないため、あいまいになってしまうのも無理はありませんよね。
医薬部外品には育毛剤やヘアカラー剤、歯みがき類などいろいろありますが、化粧品との違いに関しては、
「きちんと科学的に証明された有効成分が、定められた量で配合されているかどうか」
ということになります。
●有効成分ってなに?
医薬部外品の有効成分とは、厚生労働省による有効性と安全生の厳しいチェックを受け、認可を受けている成分のこと。
商品の裏側にある成分表示をチェックしてみましょう。
「医薬部外品」の場合は、有効成分が一番最初に表記されおり、一定量配合されていることが分かります。
美白成分なら「プラセンタ」や「アルブチン」「トラネキサム酸」などがよく知られていますが、「化粧品」の場合は、たとえ「医薬部外品」と同じ有効成分を配合していたとしても、配合量が多い順に記載されることになります。
となると、やっぱり医薬部外品の方が効果がありそう、と思いますよね。
でも、ここでチェックしなければならないのは、「医薬部外品」の場合は有効成分の配合量に決まりがあります。
有効成分がたくさん入っていれば、より素晴らしい医薬部外品かと思いきや、上限があるんですね。
例えば、美白成分と保湿成分にカテゴライズされている「プラセンタエキス」は、医薬部外品は3%以上の配合ができません。
ですが、化粧品なら配合量は自由です。
研究段階でこの製品にはプラセンタエキスを8%配合した方が、より効果的だという結果が出た場合、配合量を優先するか、医薬部外品であることを優先すべきか…。
メーカーにとっては悩ましいところかもしれません。
また、そもそも医薬部外品の申請や受理には時間がかかるため、化粧品として発売しようという判断もあるかもしれません。
「医薬部外品」はあくまでも、厚生労働省が認めている有効成分が一定量含まれていますが、イコール製品価値の高さを示しているわけではないことが分かりますね。
しかし医薬部外品は、過剰すぎず少なすぎない、一定の量を含有することで成分の有効性をうたっていることには代わりありません。
大切なことは、商品が「医薬部外品」なのか「化粧品」なのかではなく自分の肌に合っているのかどうかです。
「薬用」のラベルや広告、口コミの言葉だけに踊らされず、成分をしっかり自分の目で確認して購入することが大切です。
●“機能性化粧品”というカテゴリーもある
「機能性化粧品」は、日本香粧品学会が作ったガイドラインに基づくもので、一般的に肌のシミやしわといった特定の症状を改善する目的で開発された化粧品のことです。
化粧品のなかで、小ジワの改善を訴求する化粧品は、ガイドラインに沿った評価を行い、効果が確認できているものであれば、“機能性化粧品”と呼べるということです。機能性化粧品というカテゴリーは、特にエイジングケア商品で使われることが多い傾向にあります。
このように今私たちが手に取っているものは、ざっくり「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」、そして「機能性化粧品」があるということですね。
ここで一旦整理しましょう。
体を清潔にする、魅力を増す、健やかに保つといった目的のもの。有効成分が入っていないか、入っていてもごく少量で、大きな効果を及ぼすほどではないものです。ただし、含有できない成分は厳しく定められています。
■医薬部外品
有効成分が規定量配合されていることを厚生省が認可したもの。
効き目は穏やかで、医薬品のように必ず効果があらわれるというものではなく、効果が期待できるレベルのものです。パッケージに「薬用化粧品」と記載されているのは医薬部外品のことをいいます。
■医薬品
有効成分が多く配合されているか、さらに強力な医薬品専用の有効成分が配合されているもの。いわゆる「薬」になります。
■機能性化粧品
皮膚科医と化粧品メーカーの研究員が加入している日本香粧品学会が定めた化粧品機能評価法ガイドラインに基づくもの。一般的に肌のシミやしわといった特定の症状を改善する目的で開発された化粧品のことです。通常のスキンケア成分に加えて、皮膚の治療などに使われる医薬品の成分も使われているために医薬部外品の指定を受けているものもあります。
一方、「医薬部外品」や「化粧品」では、明確な使用法を規定する義務がありません。
医薬部外品は普通の化粧品よりもなんとなく大きな効果が出てくれそうで期待したくなりますが、自分に合わなかった場合のリスクもあります。
有効成分をきちんと確認し、肌に合っているかを観察しながら使いましょう。