最先端のエイジングケア「幹細胞コスメ」

最先端のエイジングケア「幹細胞コスメ」

2か月前の話になりますが、国際化粧品展に行ってきました。
海外から買い付けに来るバイヤーさんたちも多いイベントですが、今年はコロナ禍で来場者数が例年より少なかったとのこと。
聞いたこともないメーカー、聞いたことのない原材料について説明を受けたり、試してみたりする中で、人間が「美やアンチエイジング」にかけるとてつもなく大きな熱量を感じて少しクラクラしてしまいました。
そんな中でトレンドとして来ていると私が感じたのは「幹細胞」です。

幹細胞って?

すべての生体は細胞の集合体で、それぞれの細胞には異なる役割(分化)があり、分裂を繰り返して体を形成します。
人は最初は受精卵という一つの細胞から分化と分裂を繰り返して形成されています。
筋肉や骨をつくる細胞は同じグループ、赤血球や白血球をつくる細胞は同じグループ、その一番最初の基になるのが幹細胞です。
例えば一番最初の若い幹細胞が自己複製と役割分担(分化)によって筋肉の細胞になったり、骨の細胞になったりするのです。
京都大学の山中伸弥教授が世界で初の作成に成功し、ノーベル賞を受賞した「iPS細胞」もこの幹細胞のうちのひとつで、再生医療に非常に期待されています。
動物幹細胞植物幹細胞ヒト幹細胞があり、美容業界では幹細胞のもつ再生能力が加齢によって失われた機能の修復に効果があるということで注目されています。
動物幹細胞の代表としてはプラセンタが挙げられ、羊やブタ、馬などの動物の胎盤はヒトの皮膚幹細胞と構造が似ているといわれています。
しかし動物幹細胞のアレルギー性のリスクが否定できない事から、プラセンタ以外の動物幹細胞は化粧品では使用されていないのが現状です。
植物幹細胞は過酷な環境で育つ植物の種子や根、茎など成長に欠かせない部分から抽出されます。
注目すべきはその高い保湿力と抗酸化力で、リンゴ幹細胞や、アルガン幹細胞などが化粧品に利用されています。

ヒト由来の幹細胞

現在再生医療の現場では、ヒトの皮下脂肪から採取した幹細胞を分離して培養し増やしてから体に戻す治療が行われています。
化粧品の材料として使われているのは、その幹細胞を培養する際の上澄み液で、幹細胞そのものが含まれているわけではありません
ヒトの細胞の表面にはレセプターと言われる鍵穴があります。
上澄み液には多くの成長因子(グロースファクター)が含まれており、それがリガンダーという鍵に相当します。
その鍵がヒトの細胞表面の鍵穴にぴったりとはまることで、細胞の活性化を促進することがアンチエイジングに効果的だと言われています。
植物幹細胞にはこの鍵穴と鍵のシステムがないため不足する成分を補うことは可能ですが、ヒト幹細胞は成長因子がぴったりと細胞にはまることで細胞が活性化されて、自ら素肌のハリやツヤなどを生み出す力があります。
ヒト由来でアレルギーも少ないことから、多くの化粧品にヒト幹細胞の培養液が使われるようになりました。
しかし残念なことに、ヒト幹細胞配合の化粧品は非常に高価であり、化粧品によって配合率が多かったり少なかったりするのも事実です。

今回の国際化粧品展では、ヒト幹細胞配合の化粧品を販売するメーカーや代理店が多い印象がありました。
他にも見たことも聞いたこともないような植物由来の化粧品、羊、ブタ、馬以外のプラセンタ、法的に正しく認証されている大麻草の成分を配合したオイルなど、ありとあらゆる可能性を研究追求して老いに抗い、美しくあろうとするヒトの探求心を垣間見たひと時でした。
かくいう私も早速ヒト幹細胞配合の化粧品を購入して、日々せっせとチマチマと塗り込む貪欲な探求心の持ち主ではありますが…。

ライター:佐藤 敬子

エイジングケアカテゴリの最新記事